勘ぐり村

日本語ラップの話、金の話が多い。


今月初め、顔面がぐちゃぐちゃになった自身の姿をInstagramでライブ配信し、「15人にボコボコにされた」と語っていたRYKEYさんでしたが、このたび、恐らくはその件に関連してANARCHYさんに呼び出され、追加でぶん殴られたことを明らかにしていました。



当初のライブ配信では、殴ってきた相手を「必ず殺す」と息巻いていたRYKEYさんでしたが、ANARCHYさんに対しては「愛してます」の言葉で結んでおり、愛のある暴力の素晴らしさ(あるいはDV彼氏と別れられない共依存の恐怖)が痛いほど伝わってきます。



ここ最近、大物外国人アーティストの来日ラッシュが続いていましたが、ISH-ONEさんが、来日していたA$AP RockyやKanye Westとの飲みに誘われていて、それを断っていたことを発表していました。


人からのお誘いを断るという、通常世間に公表することはない行動を、敢えて世間に公表する意図とはなんでしょうか?その意図を、「私はA$AP RockyやKanye Westとの飲みに誘われる人間であり、かつそれを断るという行動に出ることができる人間だ」というセルフボーストだと捉えるのは浅薄です。なにせISH-ONEさんは、あのスヌープ・ドッグとの二次元共演(以下の動画参照)を果たし、世界で最も注目されているカリスマラッパーとして知られる人物なのです。凡夫の知るところではありません。



回想2

日本語ラップ史に輝くクラシックとして知られるキングギドラの『空からの力』が発売されたのは1995年12月ですが、1996年1月発行の『FRONT』No.6において以下のレビューが掲載されています。

いやあ、キング・ギドラ、マジでスゴいや。ライヴなんかでその卓越したパフォーマンスをちゃんと確認していた連中でさえ、このデビュー・アルバムにはブッとぶハズ。今まで知らなかったヤツらはなおさらだ。まず、なんといっても、今、東京でもっともフォロワーの多いラッパー、ジブラの攻撃的で鋭角的なフロウがスゴイ。彼のソロ・チューン“フリースタイル・ダンジョン”は、普段のステージではあまり見られない抑えたラップが聴ける、寒気する位にクールな曲だ。一方のK・ダブ・シャインのジブラとは対照的な落ち着いたラップもいい味を出してて、特にストーリー・テラーとしての才能光るソロ・チューン“スター誕生”には思わず涙出る(聴けばわかる)。そして、オレが何よりも衝撃を受けたのは、彼らのライムの韻の踏み方なのだ。日本語ラップの大きな壁として、いかに韻を踏むかってのはデカかった。初期日本語ラッパーの変にダジャレっぽい韻の踏み方は、逆に「これじゃ韻なんか踏まない方がカッコイイや」って風潮を生んじゃってたし、確かに韻なんかあんまり気にしないでカッコイイものを作ってるヤツらもいる。だが、キング・ギドラはそこを完璧にクリアーし、全くワザとらしくなく韻を踏みつつ、ちゃんと内容の伝わるラップを聴かせてくれるのだ。正直、「次にどうやって韻を踏んでくるのか?」なんて考えながら日本語ラップを聴いたのなんて初めての経験だ。こりゃスゴい。トラックの出来も良くて、確実に歴史的な1枚になるよ、これは。(萩谷雄一)


数年前には20周年記念盤も発売されたほどの同アルバムですから、「確実に歴史的な1枚になる」という予想は完全に的中したといっていいでしょう。ハッキリとした物言いの多い萩谷さんではありますが、ここまでの断言ができるほど、当時では抜きん出たアルバムであったことは、今聴き直していてもわかります。「ライムの韻の踏み方」という聞き慣れない文句は…当時は違和感ない表現であったのかもしれません。押韻主義について決定的な役割を果たした『空からの力』が浸透する前だからこそ存在した表現、というのは少し過大視が過ぎているでしょうか。



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